インカムの基礎知識
「インカム」の意味
「インカム」は「インターカム」の略語です。さらに「インターカム」は「インターコミュニケーション」の略語です。
「インター(inter)」には「相互につながる」というような意味があります。例えば「インターネット」はネットワーク同士が相互につながっているという意味になります。「インターコミュニケーション」には、相互につながるコミュニケーション、という意味があります。「インカム(システム)」は、相互につながるコミュニケーション装置、ということになります。
インカムの種類
インカムには使うシーンによってさまざまな形態があります。テレビ局のスタッフが「インカム」と称するヘッドセットを付けていることはイメージしやすいですし、バイクのヘルメットに付けて近くのライダーと走りながら話せる装置も「インカム」と呼ばれています。
ここでは、劇場やホールのスタッフが使うインカムについて説明をします。
劇場やホールのほか、アリーナやテーマパーク、イベント・展示会場、ホテル宴会場、研究施設などさまざまな現場でも活用できます。
インカムの役割
劇場やホールでは演劇やコンサートなど様々な催しが、観客席にいるお客様に対して行われています。催しごとに進行が決まっており、スタッフにはあらかじめその詳細が伝わっているのですが、それでも、本番中の不意のトラブルを生じさせないために、進行中に即時性のある情報共有は欠かせません。
例えば、調整室にいる音声スタッフから舞台袖のスタッフに対して、サブ卓のフェーダー調整やレベル確認などを依頼するとか、舞台袖からは司会者のピンマイクスタンバイOKの連絡を調整室に入れることなどがあります。こういった連絡を実現するのが、インカムの役割です。
基本機能
インカムの基本機能は複数人での同時相互通話です。
通話装置でポピュラーなトランシーバーやインターホンは基本的に交互通話となります。つまり通話したい人が送話ボタンを押している間のみ送話ができ、他の人はその間受話モードとなり、送話が終了するまでは次の送話はできません。
インカムの同時相互通話では、複数人が送話を同時に行うことができます。これにより送話ボタンを押すことなくハンズフリーで使用することが可能となります。演劇やコンサートなど、進行上のタイミングが重要となる現場においては送話ボタンを押す動作が間に合わなかったり、機材の操作のため両手が離せなかったりする可能性もあります。インカムのハンズフリーによる同時相互通話は大切な瞬間に対応するための基本機能です。
系統
インカムを構成する機器では、いくつかの系統をつくることができます。1系統であればスタッフ全員での同時通話となりますが、2系統の場合は例えば劇場における音響系、照明系といったように系統別のプライベート通話を可能にします。
時代の流れとともに、特に複雑化する放送局のコミュニケーションシステムにおいては複数人が同時に接続される系統のみの仕組みではその要求を満たすことが難しくなり、新たなシステムとしてポイント・トゥ・ポイント、つまり個別ステーション間での通話が可能なシステムもあります。
通信方式
ケーブルを使ったアナログ方式・デジタル方式のほか、ワイヤレス方式、有線LANのほかWi-Fiやインターネットを経由した通話を可能とするIP方式もあります。
また、異なる方式を相互に接続できるシステムも存在します。
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