防水?防塵?保護等級IPコードの基礎知識と屋外設置時のポイント

2023.08.22音響 , 映像

世の中の多くの機械は、基本的に雨や水に濡れない環境での利用が想定されています。音響・映像機器も例外ではありません。
それらを水に濡れる環境やほこりの舞う環境で使用することは、故障や事故、怪我などにつながる恐れがあり大変危険です。
しかし、屋外であってもスピーカーを設置して音楽を流したい、デジタルサイネージを設置してご案内したいという場所は、多くあるはずです。
では、店舗の外や屋外施設・工場の中といった場所に音響・映像機器を設置する際には、どのような基準で機器を選び、設置したらよいのでしょうか。また、どのような点に注意する必要があるのでしょうか。

今回は、保護等級IPコードの基礎知識とともに、音響・映像機器を屋外設置する際の選び方のポイントをご紹介します。

IPコードって何?

IPコードの意味

IPコードとは、国際規格IEC 60529、JIS規格JIS C 0920などに規定される保護等級です。
数字または文字の組み合わせで、外来固形物(ほこりなど)と水の侵入に対する保護等級を表しています。
また、付加文字や補助文字を用いて、補助的な情報を表すこともできます。
最近では、スマホでもIP5XIPX8などと表記されるものがあり、目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
このような表記で、防塵や防水の程度が表現されています。

IPコードは、コード文字「IP」と以下に続く数字や文字で構成されます。
IPコードの構成

機器が希望の環境で使用可能なのかを確認したいときに注目するのは、主に第一特性数字と第二特性数字です。それぞれが表現するのは、以下の内容です。

第一特性数字:外来固形物の侵入(電気機器に対する保護内容)≒防塵に関わる内容
※危険な箇所への接近(人に対する保護内容)も表現する

第二特性数字:有害な影響を伴う水の侵入(電気機器に対する保護内容)≒防水に関わる内容

IPコードの見方

それぞれの数字は、外来固形物/水の侵入に対してどの程度保護されているかを表現しています。

第一特性数字

0 無保護
1 直径50mm以上の大きさの外来固形物に対して保護している
2 直径12.5mm以上の大きさの外来固形物に対して保護している
3 直径2.5mm以上の大きさの外来固形物に対して保護している
4 直径1.0mm以上の大きさの外来固形物に対して保護している
5 防塵型(塵埃の侵入を完全に防止することはできないが、電気機器の動作及び安全性を阻害されない)
6 耐塵型(塵埃の侵入がない)

※第一特性数字では、危険な箇所への接近(人に対する保護内容)も表現していますが、この表では省略しています
第一特性数字

第二特性数字

0 無保護
1 鉛直に落下する水滴に対して保護する
2 15度以内で傾斜しても鉛直に落下する水滴に対して保護する
3 鉛直から両側に60度までの角度で噴霧した散水に対して保護する
4 あらゆる方向からの水の飛沫に対して保護する
5 あらゆる方向からのノズルによる噴流水に対して保護する
6 あらゆる方向からのノズルによる強力なジェット噴流水に対して保護する
7 一時的に水中に沈めても有害な影響を生じる量の水の侵入がない
8 潜水状態での使用に対して保護する

※第二特性数字が6以下の等級では下位のすべてに適合することを表す。7または8のみに指定される場合、5または6に適合していない。双方とも満たす場合には、IPX5/IPX7のような表記となる。

第二特性数字

大まかには、数字が大きくなればなるほど過酷な環境での使用に耐えうると考えてよいでしょう。
IP32とあれば、直径2.5mm以上の大きさのものは侵入せず、ちょっとした雨であれば大丈夫という印象です。
IP66とあれば、塵埃の侵入がなく、あらゆる方向からの強力な噴流水に対しても保護されるということがわかります。

第一特性数字・第二特性数字ともに、省略する場合にはXと表記します。
そのため、外来固形物への保護のみを表す場合には、IP4Xのような表記に、水の侵入に対しての保護のみを表す場合にはIPX5のような表記になります。

以下は表記の例です。

IPコードの例

どうやって選んだらいいの?

IPコードの見方がわかったところで、実際に選定してみましょう。

たとえば、店舗の軒先にスピーカーを設置したい、屋根はあるけれど強い風が吹いたら雨に濡れてしまう、砂埃の可能性もあるという状況のときには、IP54以上に適合しているものを選ぶとよいでしょう。
また、テーマパークや公園のように、屋外で直接雨風にさらされるような場所では、IP56以上に適合したものを選ぶと安心です。
水を浴びる危険はないけれど粉塵の舞う工場の場合には、IP5X以上を選ぶとよいでしょう。過酷な環境の例

注意点として、海の潮風や油など特殊なものを浴びる可能性がある場合や、お風呂やサウナのように高温多湿の場所などでは、それらに対して保護されているかを確認する必要があります。

また、その他以下のような点にも注意が必要です。

  • ディスプレイのような映像機器では、強い太陽光のもとでも見えるよう、輝度の高いものを選定する。
  • スピーカーでは近隣住居など不適切な場所に音が届いてしまわないよう指向性に注意する。
  • 不特定多数の人が触れられる場所に機器を設置する場合、いたずらや衝突による破壊を防ぐため頑丈なケースを用意する。

防水・防塵の性能とその他の対策などから、現場の環境に対応できる適切な機器を選定しましょう。

対応製品にはどんなものがあるの?

JATO online shopで取り扱っている屋外対応製品を紹介します。

JATO online shop マガジン編集部

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厳選されたパーツと耐水加工を施したドライバーを使用することで、IP-56に適合しています。屋外の過酷な環境で活躍します。

JATO online shop マガジン編集部

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テーマパーク、ホテル、レストラン、バー、小売店、企業AV、住宅、礼拝堂などのアプリケーションに最適です。

JATO online shop マガジン編集部

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IP55に準拠したディスプレイケース。防水対応ではないディスプレイもこれに入れることで屋外設置が可能になります。

編集部より

屋外に設置する機器は、屋内設置の場合に比べてさまざまな点に注意しながら選定する必要があります。
その一つがIPコードによってあらわされる防水・防塵の保護等級ですが、文字列を見ただけではイメージがつきにくいですよね。
この記事が屋外設置の機器選定時の一助になれば幸いです。

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タグ : 映像 サイネージ 屋外 音響 防水 スピーカー
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